循環器疾患について
循環器疾患には、高血圧症、心筋症、不整脈、弁膜症など様々なものがありますが、生活習慣病が複雑に絡み合って発症することが多く、早めに対策を打つことが大切です。
以下のような症状がおありの際には、お早めにご相談ください。
- 動悸、息切れ、胸の痛み、胸の圧迫感
- 呼吸困難、チアノ─ゼ、背部痛
- めまい、立ちくらみ、むくみ
- 咳や息切れ、動悸などの胸部症状が続く 等々
高血圧症
殆どの高血圧症の原因は不明で、本態性高血圧症と呼ばれます。過労や精神的なストレス、不規則な生活が原因となることも多いですが、塩分の過剰摂取による高血圧が多いです。厳格な塩分管理を行うと、たいていの高血圧は治ってしまうものですが、生活習慣や食事制限を徹底することは不可能なので、降圧剤を飲むことが多いです。最近の降圧剤は、カルシウム拮抗剤とARBと呼ばれるレニン・アンギオテンシン作動薬が主流です。
原発性アルドステロン症
副腎の腫瘍でアルドステロンが多量に分泌されるために血圧が上がります。血液や尿を検査すると診断でき、降圧剤を使っても血圧が下がらない時には、原発性アルドステロン症を疑います。
虚血性心疾患
心臓を動かす血液は、右1本、左2本の冠動脈で循環されます。冠動脈がアテローム硬化症を起こすと、その先の血液循環が阻害されます。安静時には足りていた血液も、激しい労作時には不足し、胸の痛みが出現します。これが狭心症ですが、アテローム硬化症が破れて血栓症が発生すると、血管はほぼ完全に閉塞し、その先の心筋は壊死します。それが心筋梗塞です。いずれの場合も重篤な心疾患ですので、一刻も早く専門医療機関を紹介します。
心筋症
心筋が肥大するタイプと、心室が拡張するタイプがあります。どちらも、心不全や重篤な不整脈の原因になります。心エコー検査で発見されますが、専門医療機関で精査します。
不整脈
脈が増える頻脈性不整脈と減る徐脈性のタイプに分かれます。通常の心電図検査のほかに、24時間連続記録するホルター心電図で診断されます。ほとんどの不整脈は、治療の必要はないのですが、治療が必要になる場合もあります。
心房細動
心房が不規則に細動を起こすと、規則正しい収縮が起こらず、ときに血液が滞って血栓症を生じます。その血栓が頭の血管に飛べば重篤な塞栓症を起こします。血栓ができやすい状況なら、血液凝固を抑える薬を飲みます。
弁膜症
心臓には血液が逆流しないように4つの弁があって、その弁が狭くなる(狭窄)か、うまく閉まらなくなる(逆流)ことがあります。以前はリュウマチ性の僧帽弁疾患が多かったのですが、いまは、動脈硬化性の大動脈弁膜症が多いです。心エコーでスクリーニンできます。
心不全
最近、高齢者の心不全が注目され、その患者さんの急増は心不全パンデミックと呼ばれています。心臓から全身に十分な血液が供給されないと、息切れ、空咳、喘鳴、浮腫などが生じます。心不全には2つのタイプがあり、心エコー検査で左室駆出率(EF)が低下するタイプと、正常のタイプに分かれ、それぞれ治療法が異なります。治療は専門的な知識が要求されるため、当院では北信総合病院の循環器科に紹介しています。病院で治療方針が決定されたら、「北信濃心不全連携パス」に組み込まれ、定期的な診療所通院と、間隔を置いた病院受診で、患者さんの便宜を図っています。