私の本の読み方 38. 神話の世界
2024年12月11日
右から、①「伊福部昭」小林淳著 ②「神々の流竄(るざん)」梅原猛著作集 ③「歌の復籍 柿本朝臣人麿歌集論」馬原猛著
アマテラスオオミカミアマテラスオオミカミ)や素戔嗚尊(スサノオノミコト)と言えば、神話の世界の話かと思ったが、史実の話であることを②で、梅原猛は証明してくれた。そして、伊福部昭の先祖は大国主命(オオクニヌシノミコト)だという①。 次に②の内容を記す。スサノオはアマテラスの弟で三輪山の大蛇を退治するが、暴れ者で出雲に追いやられる。スサノオの子孫がオオクニヌシなのだ。以上の記載事項は古事記に出てくる。古事記は稗田阿礼の口述を太安万侶が書きとった物とされる。稗田阿礼は実存しないから、梅原によれば元明帝(女帝)に仕えた藤原不比等だという。神話の形式をとって元明帝の正統性を示し、身分の低い藤原(中臣)姓にも注目が集まるように、そして女帝が読めるような仮名混り文で書かれた。古事記は公にされることのない、私的な文書である。一方、日本書記は漢文で書かれた公式文書である。 ③は柿本人麿の生きた年齢、死んだときの地位、死因についてこれまで信じられてきた賀茂真淵説に異を唱えた論文集である。梅原によると人麿は当時考えられていた真淵説より長生きした。人麿は持統(女)帝の歌詠みとして遣えたが、晩年失脚し刑死したらしい。梅原の論説には、よく女帝が出てきて、自分の孫を帝にしようとする様な話が良く出てくる。この頃の政権の動きはやたらと血なまぐさい話が出てくる。 (②③ともに1989~1991年の刊行で、ページ数は386~590pの大著である。内容が難解であるうえ、大著であるので1/3~1/2ほど読んで挫折した) ①は伊福部昭の作曲した楽曲を知りたくて買った。伊福部の数多い楽曲が詳しく書かれていて役に立った。スサノオが大和から出雲に追われ、その子孫のオオクニヌシの末裔が伊福部家に繋があるようだ。昭和の大作曲家が神話と繋がるなんて嬉しい話ではないか)