私の本 52. 坂本龍一の対談集
2025年3月7日
「坂本龍一 ピアノへの旅」坂本龍一と音楽の専門家3人の対談集である。この本の前に読んだ「ジブリの音楽で高名になった作曲家」と「虫好きの脳科学者」の対談が面白くなかったので、この本は違うだろうと期待して読んだ。読後感は期待にたがわず面白かった。内容は読んでみてのお楽しみとしておく。チェンバロだのクラビコードだの、フォルテピアノだの、いろんな鍵盤楽器の説明が出てくるが、違いをちがいを知るのも面白い。それにしても坂本の博識には驚く。人は坂本を「博士」と呼ぶが、その呼称も頷ける。
坂本はチェンバロなどで機械を操作するときの音、例えば「バタン」だの「ドスン」だのの音を聴くのが好きだそうだ。楽器操作の音はまさに「弾いている」実感がするらしい。私は以前、「教会でチェンバロを弾くから録音してほしい」と頼まれたことがある。遠慮してチェンバロから離れたところにマイクを立てて用意していたら、奏者からチェンバロの箱の中にマイクを突っ込んで録(と)ってくれと頼まれたことがある。ドッタン、バッタンがとれていたが、臨場感があった。管楽器でペダルの操作音も然りである。クラシック・ギターで左手を動かすときのキュッ.キュッと言う音も、苦にならない。