徒然なるままに 4. 山のトラブル | 市川内科医院のブログ│実験室

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徒然なるままに 4. 山のトラブル

2023年1月24日


1. 道迷い(方角誤認):1996年8月14日 南アルプスの甲斐駒ヶ岳を経て鳳凰三山を縦走した。この日は南岸を小さな台風が東進していて、山はやや強い南風と雨の生憎の天気であった。アサヨ峰から早川小屋まで東に延びる早川尾根を辿った。登山道は稜線の南を通っていた。。深い霧で視界は20mほどだったろうか?東に向かっていたので、常に右から強い風が吹いていた。午後2時頃だったと思う。登山道の北(自分から見て左側)の小さなピークで休憩することにした。ここで、希しくもオコジョを撮影でき、うきうきして出発した。登山道に戻った時、どういう訳か方角を見失ったらしい。自分では早川小屋の方に向かって歩いているつもりだった。暫く歩いていたら前方から来た登山者に、「早川小屋まではどのくらいかかりますか?」と尋ねられた。私は「貴方、どこに向かって歩いているのですか? 私も早川小屋に行くんですよ」  登山者は不思議な顔をして、行ってしまった。しばらく歩いていたら、なんとなく様子がおかしい。さっき見た風景みたいに思える。しかも、ずっと右から吹いていた風が、今は左から吹いている。やっと、気付いた「逆走していたんだ!」

2. 道迷い(ホワイト・アウト):1991年3月23日 山スキーを覚えたばかりで、どこを登っても面白くて仕方なかった。飯山市濁池から大平峰目指して深い霧の中を登った。濁池からやや急な斜面を登ると、そこは複雑な地形の緩斜面になる。台地のところどころに、柿の木などがまばらに生えていた。私のナビゲーターは紙の2.5万図とコンパスだけだった。ここまで登ってきて、深い霧で方角を完全に見失ってしまった。「引き返えそう。ここまで歩いてきたトレールを辿ればいいや」  簡単に考えて引き返した。しばらく進むとゆるい登り坂になった。忠実にトレースを辿ればいいのに、登り返しが面倒でゆるい下り坂方向に向かって進んだ。これが悪かったのだ。しばらく進んだら最初に登ったトレースに出会った。ほっとしてそのまま進んらさっき来たときと同じ木が見える。「あれ、変だなあ!」  もう一度、トレースを辿って進んだが、また同じところに出てしまう。「リング(ループ)ワンダリング」に嵌ってしまったのだ。ここで、地図とコンパスを取り出して、自分の大体の位置と濁池に下る方角を確認して、ループから外れた。しばらく進むと急坂になり、そこを下ると霧の中に濁池の集落が見えてきた。リングワンダリングは肝を冷やす。 (注)ホワイト・アウト:濃霧や吹雪で方角を見失うこと。   リング・ワンダリング:同じところをぐるぐる回ること。抜け出すのに勇気がいる。

3. 道迷い(方角誤認) :2008年6月8日 小県郡青木村と東筑摩郡四賀村(当時)の境界を歩いた。青木村の昆虫館近くから山に入り、十観山、御鷹山、入山を越えて、保福寺峠に至るコースである。このルートは10数年前に青木村で整備され、里山のガイドブックにも歩きやすいコースとされていた。楽勝かと思われたがコースは意外と荒れていて、指導票もしっかりしてなく、御鷹山付近でも道を失って山中を彷徨った。決定的に間違えたのは入山の下りであった。入山は三方に尾根を伸ばしているが、結果的には三ツ又の誤った方角に進んでしまった。行けども、行けども保福寺峠には着かず、地図を見ると進む方角と少し違う気がする。さんざ歩いたら林道が現れ、再度地図を見たら保福寺峠とはかなり離れた地点であった。今なら、GPSで簡単に現在地が確認できるので、こんな誤りはしないだろう。紙の地図とコンパスだけで登っていたころの話です。

4.  道迷い(樹林帯):1989年4月16日  乗鞍岳の北方に連なる十石山に山スキーの帰り。同行者は私と息子たち、そしてリーダーは竹前たか子さん(2019.1.9 のブログ参照)である。下りは、生意気にも私が先頭を務めた。十石山本体の大滑降を終えると、そこは湯沢平と飛ばれる緩斜面の台地になる。ここは複雑な地形で、針葉樹の大木が林立して視界が悪く、迷いやすい地形だ。幸い、登りのシュプールがあるのでそれを忠実に辿れば問題ないはずだ。しかし、どういう訳か台地の端に出てしまい、前方が急斜面になって湯沢に下ってしまいそうになった。慌ててコースを戻してゆるく登った。しばらく進むと、登りの時に付けたシュプールと、今しがた自分たちが降りで付けたシュプールが交錯して、どちらに行けばよいのか分からなくなってしまった。適当に進んだら、また同じ場所に出てしまった。樹林帯でループワンダリングだ! 空は曇り空で太陽が見えず、方角が分からない。樹木が深く周囲の山は見通せない。竹前さんが地図とコンパスを取り出して、あっという間にループワンダリングを抜け出せた。

5. GPSを落とした:1.~ 4.  までは、GPS(global positioning system)を持たずに登った山の記録だが、2011年にGARMINのGPSを購入した。価格は約10万円だったが、それ以降GPSなしでは怖くて山に入れなくなるほど愛用した。2014.9.14 富山県の毛勝三山の一座の猫又山に登った。上市町馬場島で車を置き、variation root の早月川左側の急斜面を登る予定であった。登山口は砂防工事中で取りつき点が分からない。なんとなく登山道らしい斜面を100mほど登ったら、そから先は急斜面の崖になってしまった。GPSを取り出して現在地を確認すると、どうやら道を間違えたらしい。慌てて引き返そうと思い、ザックを背負ったら天蓋(あまぶた)にしまったはずのGPSが飛び出して、急斜面を転がり落ち始めた。どうやら、天蓋のチャックを閉め忘れたらしい。慌てて追いかけたが、何しろGPSは重く転がりやすいので、どんどんスピードを上げて、15mほど下の藪の中に飛び込んでしまった。そのあたりを念入りに探したが、後の祭りであった。仕方がないのでvariation rootをあきらめて、一般的なコースを登ることにした。この山域は全く指導標がなく、地図とコンパスと勘だけで登ったが、終始不安であった。  携帯電話なら(同行者がいれば)、その携帯に電話をかければ呼び出し音で見つかるが、GPSはしゃべってくれないのでお手上げだ。10万は痛かった!  その後買ったGPSは6万円でした。今のスマホはGPS機能がついているので便利です。

2台目のGPS (GARMIN MONTANA 600)    です。145mm×75mm  (厚さ36mm) 重量 270g   これも、ドデカイです。   GPSには買った時から数値地図がインストールされていますが、スマホのアプリは入山前にそのエリアの地図をインストールする必要があります。  ところで、コシナは GARMIN(JAPAN) に、宣伝費を払ったのかなあ?

6. 長野県北部神城断層地震: 2014.11.22 PM 10:28    「北陸新幹線沿線の山」で、小谷村の明星山に登った。明星山は石灰岩の山で、南側をほぼ垂直な絶壁で取り囲まれている。岩登りのベテランがトレーニングで登るが、石灰岩は酸性雨でどんどん浸食されるため、岸壁が常に浸食されクライミングの難易度が高い。もちろん、私は普通の登山道(西側のサカサ沢を遡るルート)を登るつもりで、絶壁からやや離れた平坦地でテント泊した。寝付いたころ地鳴りとともに、すごい揺れが来て飛び起きた。(M6.7 小谷村でも最大震度6弱を観測した)     近くの岸壁を岩が転がり落ちて、カランコロン音がした。崖の近くにテントを張らなくてよかった。 真夜中から雨が降り出し、翌朝は登頂をあきらめて引き帰した。登山口のヒスイ峡から麓までの林道が果たして通れるか心配したが、幸いどこも崩落していなくて通過できほっとした。私の登山はたいてい単独行だが、こんなトラブルがあると相棒が欲しいものだ。勿論、こんな時期にこんなマイナーな山に登る人はほとんどいないので、他人を頼りにすることはできない。

7.  スキーで転倒:ボードの転倒(危機一髪)でも書いたが、私はどうも回転の初めで、板の前方に乗る(体重をかける)傾向があった。ボードでトップエッジを引っ掛けると大転倒につながり重大な事故になるが、スキーでは両外足荷重になりスキーが逆ハの字になる。これもかなり危険だ。2017年2月23日 カービングがうまくなりたくて、いろいろ工夫して滑っていた。中程度の斜面をゆっくり滑っていたら、いきなり両スキーが開きだして、逆ハの字になってしまった。両下肢は開いていて、両足に加重されているので転ぶに転びようがない。ゆっくり滑っているので、セフティーが効いてスキーが解放されることもない。仕方なく前に転んで、顔面制動で止まった。この時は顔面の擦過傷と両股関節(特に右)の痛みが残った。力学的には大腿骨が過度に外旋して、股関節を傷めたということだ。転倒の原因がつかめないまま、そして痛さに耐えながらもスキーはやっていた。同年 3月16日 同じ転倒をまたやってしまった。今回はかなり重傷であったあった。その後、右股関節の痛みは軽減しなかったが、転倒の原因が分かり滑り方を変えた。今はこのような危険な転び方はしなくなった。2020年11月に右股関節の人工関節置換術を受け、今はスキーもできるほどに回復している。スキーはゆっくり滑れば安全というものではない。転倒しても勢いよくパーンと跳ね上げられれば、胴体と下肢の無理な回旋運動から解放され、安全に転べます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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