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私の本の読み方 26.怪異紀行

2024年8月21日

 

 

 

 

「世界ぐるぐる怪異紀行」 奥村克巳著  帯に・・・呪術、精霊、悪魔、鬼、文化人類学者が体験した怪異・・・ とあります。私は、この類の話が好きなのではなく、「くだらないから鼻を明かしてやろう」と言う気持ちで読んだ。

その前に、以下の書評を見て欲しい。

横尾さんは、書評まで芸術にしてしまうんだからまいるよなあ。

この本の著者の奥野さんや横尾さんは霊の存在を信じているようだけど、私は信じない。私だって風邪をひいて学校を休んで寝ていた時などに、目覚めようと思っても、鼻の奥に妙な違和感を感じて覚醒できなかったことはよくあった。人はそれを金縛りと呼ぶのだろうか。  横尾さんの経験だって、空港で話した相手が大事故を起こしたのは、たまたま偶然のことだと思う。後で考えたら・・?と思うことはいくらでもあるものだ。

私は、現実的な人間だから、生前の世界、死後の世界、霊魂の存在、 神の存在 etc. は、一切  信じない。神や霊魂は、人の心に宿るものだろう。だから、私の心に神や霊魂は宿っているから、悪いことはしないし、嘘はつかない(ようにしている )  。  私は子供の頃、親戚の子に強がりで「人魂(ひとだま)を見た」と言ったことがあるが、今でも悔やんでいる。

一方、ニュートン力学では説明できない量子力学の話は (理解はできないが) 現実だと思う。また、バタフライ効果と呼ばれる原子の偏りで、世の中がゆらゆらと変化する・・・ よく理解できないけど、その論理は信じる。 この件に関しては、関良基著「江戸の憲法構想」に詳しいから、そこで解説する。

世の中には「霊感が強い」とか言って、人が死んだと聞くと、後になって「そういえばあの時幻影が見えた」などと言い出す人がいる。あれは、あとでこじつけているだけで、特別な能力など何もないと思う。人はよく、パワースポット」などと言って」有難がるけど、あれも眉唾(まゆつば)物だ。 私が一人で山中のテント泊を繰り返していた頃、登山口で中高年齢の夫婦に行き会った。さかんに山で経験した神霊現象の話をしてくるので、暫く付き合った。mail addressを交換して別れたが、その後度々山であった奇怪な出来事を書いた mail を送ってきた。あまりしつこいので「私が山でそのような怖いいことに出会ったら、一人で誰もいない山の中で泊まることなどできない」と、突っぱねたらその後全く連絡してこなくなった。

現代人は怪異現象をお金儲けの手段に使っているにすぎないと思う。丹波哲郎や稲川淳二だってどのくらいまじめなんだか? 一方、この本は文化人類学者たちが書いた、きわめて真面目な本である。世界各地の民族が怪異現象を半分信じたふりをして、世の中をうまく切り回して行く、言い換えればガス抜きの手段として使っているその様が書かれている。

印象に残ったのは、最終項で書いたイリナ・グリゴレの、アフリカ原住民の生活を動画で記録する話である。撮影隊は現地の人の間に完全に溶け込んだ状態で撮影する。映像を見た原住民は大変に喜んで、次もぜひ撮ってくれとせがむそうだ。 カバの狩猟の様子を撮影して、後日動画に音楽を被せて映写したら、現地の人が「音楽を消せ!」「音を立てたらカバが逃げてしまうではないか!」  文化人類学って面白そうだ。

 

 

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