徒然なるままに 3. 文化
2023年1月12日
1. 渡辺京二:2023.1.12 今朝の朝日新聞文化欄を見て驚いた。渡辺京二が亡くなった!石牟礼道子が亡くなったときの渡辺京二の貢献ぶりは印象深かったが、今日の田中優子の追悼文も示唆に富んでいる。私が初めて渡辺京二を読んだのは「黒船前夜」だった。全く予備知識がない状態で読んだが感銘した。その後「逝きし世の面影」はさらに面白かった。私が言いたいことは、今日の田中の追悼文に全部書いてあるので、そちらを読んでほしい。
追悼文の中で、渡辺は2018年に田中と対談した際、「日本の近代化は人々の生活をもう少し豊かなものにしたいと思ってやったものではなかった・・・(以下略)」と述べている。以下の文は長くなるので省略するが、石牟礼、渡辺、田中と続く優れたオピニオンリーダーたちの思想に大いに同意する。新聞の切り抜きを希望される方は、ページ内のアドレスにメールください。添付ファイルを送信します。
2. ソバーキュリアス: 耳の痛い人が多いと思います。 朝日新聞、天声人語の内容を簡略します。「直訳すれば、しらふの好奇心。あえてお酒を飲まないことで得られる気づき」 作家のS氏がひどい二日酔いがきっかけで始めた断酒生活で、酒を止めたら「一日の時間が長く感じられるようになった。一日の時間が長く感じられるようになり、頭がすっきりし、夜には読書もできる・・・。(以下略) いまの世界は飲酒が文化になっているが、酒のない世界も一つの文化になりえると私は思います。天声人語の全文を読みたい方は、連絡下さい。
3. 旅:今回も朝日新聞の「文化」欄の受け売りです。いつも、書きたいと思っていた事項が朝日新聞に記事になるのは不思議です。そのような訳で沢木耕太郎の「天路の旅人」です。この記事の最後に「(沢木は)永遠に癒されることのない幸福な病を抱えたまま、いっも旅の途上にいる」とあります。私は旅を思う時、「来る日も来る日も果てしなく大地を彷徨う感覚」に浸ります。そして、深夜ドライブを思う時、中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」の「旅はまだ終わらない・・」の歌詞が頭に浮かびます。アフリカ大陸で生まれた人類が約100万年かけて南アメリカ大陸の南端までたどり着いたそのDNAは、先祖からずっと受け繋いできたものでしょうか? 人生は長い旅の途中のようにも思われます。
このところ週刊朝日の下山進の影響で、沢木耕太郎がマイブームです。「深夜特急」で病みつきになりました。「天路の旅人」と併せて、読了したら「私の本の・・・」で紹介します。
4. 学校教育: 昨今、学校教育に関する論議が喧しい。特に教師の働きすぎが問題になり、あるいはモンスターペアレントの対応、学校に行きたがらない子供たち、いじめ、 etc. 枚挙にいとまがない。この間、新聞だったか週刊誌だったかを見たら、「子供のころ親の都合で5~6ヶ国の学校に通ったけど、それぞれの国の学校はみな違っていた」とありました。目から鱗(うろこ)でした。学校なんて世界中同じだと思っていました。 私は子供のころから学校は嫌いでした。「早く大人になって、学校に行かなくてもよくなりたい」といつも思っていました。 大体、月曜日から金曜日まで、そして朝から夕方まで、同じ仲間と同じ先生(小学校では)と付き合うなどとは、子供はよくやっていますね。 子供をそれだけの時間拘束するにしても、効率が悪すぎます。私の学校時代を振り返ってみて、よく勉強したのは大学浪人時代と大学の卒業試験でした。 学校が楽しいとか、学ぶ必然性があれば、だれでも真剣に勉強すると思います。学校通学時間を今の半分くらいにして、あとは自主的に楽しく勉強や運動をやるシステムって何かないかな。
5. 農耕文化と糖質依存症:人類の依存症の始まりは穀物食だと思う。穀類は噛んでいるうちに、唾液中のアミラーゼの作用で、でん粉が糖質に変化して口の中で甘みを感じるようになる。採取、狩猟時代には、ヒトが生きるために摂取するエネルギーのうち、炭水化物が占める割合はそれほど多くなかった。甘いものを食べたくても食べられなかったのだ。BC8,500年ごろコーカサスからメソポタミアあたりで小麦の耕作が始まった。そして、BC4,500年ごろ中国大陸北部から中南部で稲の栽培が始まった。麦と米は世界の人口を増やす役割を担ったが、反面健康障害が生じた。穀類の過剰摂取は、肥満、糖尿病、高脂血症をきたす。さらに、コメは麦に比べて単位当たりの収穫量が多いという。穀物が主食になって地球上の人口は増えたが、平均寿命はむしろ低下したという。 炭水化物(穀物あるいは糖質)をよく噛めば、口の中全体に甘みが広がります。「白いご飯が大好き」と言う人は多いです。穀類は美味しいのでいくらでも食べられる。人類は皆「糖質依存症」なのだ。 楽しかったり、美味しかったり、達成感を満足させるものは、みな依存症にる。ある種の類人猿は酒を造るそうだ。自称コラムニストで、アルコール依存症から甦(よみがえ)った小田嶋隆氏は、著書「上を向いてアルコール」で「依存症から脱却するには、それ(対象物、小田嶋氏の場合はアルコール)なしで生きていく生活を自分で思い浮かべ、生活を設計する能力(知性)、すなわち intelligenceを持つことだ」と言っていた。(しかし、この本を書いて間もなく、彼はあっけ亡くなってしまった。間に合わなかったのか、遅かったのかは定かではない。ちなみに、私はアルコールを止めて10年間生き永らえた)
6.地図:以前の天声人語に、タクシーはこれからは紙の地図を持たなくても良くなった、と書いてありました。その後で、地図の利点を述べていたと思うのですが、なんて書いてあったか忘れました。 地図って文章とも違うし、絵画とも違うし、全く異なる記録媒体だと思います。地図は知らない世界に誘(いざな)ってくれる気がします。私は子供のころから国土地理院の地図を見るのが好きで、大人になり山に登るようになって、20万図、5万図、2.5万図を買い集めました。現在どの位あるか調べたことはありませんが、おそらく1,000枚を下らないでしょう。長野市の平安堂や長谷川書店はよく備えてありました。地図を見るのは、文字や画像をいるのとは異なる世界に連れて行ってくれます。子供たちも山が好きだったので、よく国土地理院の地図を見ていましたが、最近は登山アプリで登るので紙の地図(あるいはコピー)を持ちません。私は頭が古いので、紙の地図がないと登れません。以前は国土地理院の地図をコピーしていましたが、最近はパソコンで地図画像をプリントしてそれを持っていきます。 社会科や地理の授業で使う地図もよく見ました。昔はよく見たと思ったのですが、社会人になって改めて眺めてみて、世界の情報が全く身についていないことに愕然とします。最近になって沢木耕太郎の「天路の旅人」を読んでいます。文中の地名が分からないまま、地図で確かめもせず読み飛ばしていたのですが、あとになって読書家の方から「地図を首っ引きで読んでいる」と聞き、いまは平凡社の「カラーアトラス」で確かめながら読んでいます。それでも、知らない地名や山脈や川が出てきてお手上げです。
・・・・・続く
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