徒然なるままに90.ゴジラ
2024年11月3日
片山杜秀さんが、「クラシックの迷宮」でいつかやってくれるだろうと期待していたら、ついにやってくれました。伊福部昭ファンの片山さんがやらないわけがないと思っていたので、放送が始まった時は思わず「やったあ!」と叫んでしまいました。
紹介されたのは、1954年版「ゴジラ」サントラ盤の完全復元です。サントラ版は音が悪いので、現代でも通用するようにリメイクして有ります。remakeと言うより、reconstructin です。指揮者は伊福部昭の弟子の和田薫で、和田は当時の楽譜を探し出して忠実に再現しました。楽譜がないところはサントラを聴いて、それを譜面に起こしました、演奏は日本センチュリー交響楽団、合唱大阪センチュリー合唱団です。演奏は映画に忠実に進んでいきます。
始めは、大戸島のゴジラが上陸して、荒らしまわります。(余談ですが、大戸島はここではただの漁村でしたが、ゴジラ—1.0では特攻隊の出撃基地になっていました) 大戸島を調査するため、調査船が出航するときにかかるのが、メロディー 1 です。話は進んで、自衛隊(ゴジラ初上映の頃は保安隊)のフリゲート艦が出航するときは、メロディー 2が掛かっていました。ところが、再度フリゲート艦が出港するときにかかったのは、最初の大戸島に向けて調査船が出航したときのメロディー 1なのです。誰か(演奏者? レコード会社? 片山さん?)が間違えたのでしょう。「お前の聴き違いだろう?」 いえ、私は伊福部は聞きまくっていて、特にメロディー 1 は大好きな旋律なので、絶対間違いないです。
メロディー 1は大好きなので、さんざ再生してきました。オリジナルサントラが特に好きです。当時のサントラ音乗せでは、専属のオーケストラが演奏して、指揮者(伊福部昭)がフィルムのラッシュを見ながら振るのです。だから、オリジナルは、音は悪いが演奏はすごく良いのです。例えば、メロディー 1 ではトランペットが活躍するのですが、そのトランペットは下手だけど上手いのです。高音になると音は外れっぱないし、裏返ったり途切れたり・・・。笑ってしまうほど調子外れなのですが、伊福部の指揮棒がぐんぐん圧してくるので、すごく元気が良くていいです。今回の和田薫版は行儀が良すぎてつまらない。それにしても、伊福部昭はすごい人です。
余談の余談ですが、ゴジラ・シリーズの音乗せの際、画面が面白すぎて楽団員が画面ばかり見るので音が会わず、挙句の果て指揮の伊福部だけが見れるようにして収録したそうです。
このの音楽を解説するのは、片山杜秀しかいない。今度の「クラシックの迷宮」では、是非伊福部昭のほかの作品を取り上げて欲しい。