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新聞を読んで 26. 山岳遭難が多すぎる

2025年10月12日

登山が好きなので、その気になって読むせいか、最近山岳遭難、それも高齢者の遭難が多い。パターンとしては「昔さんざ登ったから、今でも大丈夫」と言うタイプと、「定年退職して何かしたいが、手始めに山でも登ろうか」のどちらかだ。私は昔から言っているが、「登山と言うのは自己完結の世界である」。よく他人(ひと)に聞かれる。「どの山に登ったらよいか、教えてくれ」あるいは「山に行きたいから連れて行ってくれ」、どちらも断ることにしている。「新聞でも、本でも、Web.でも何でも良いから、まず目的地を探しなさい。その山に登るために何をトレーニングして、どんな知識が必要で、山岳用品は何か必要か、時間をかけて調べなさい。」そして「すぐに目的の山に登ることなく、家の裏山に登ってみて登山の感触をつかみなさい。」高山に登るのに「極地法」と言う登り方があるが、身近の山でもいえる。目的の頂上に向けて一歩一歩、時間を掛けて登山レベルを上げていくことである。私は以前、関田山脈のブナ林に通い詰めたが、何度も通って守備範囲を徐々に広げていった。今日ここまで登ってみて無事帰ってきたら、次回はもう少し先に行ってみる。ブナ自然林は踏み跡はなく、見通しの効かないブナの極相林が果てしなく広がっているのである。この山域には10年ほど通い詰めた。

今年のノーベル賞の生理学・医学賞は免疫学の坂口先生が受賞された。先生の言葉に「基礎科学研究は毎日の細かな研究の積み重ねで出来ている」と言う言葉があった。「ある日突然、大発見がなされることはない」とも言われた。山登りもそうだ、長い時間を掛けて登山レベルを上げていって目的の山に登る。高齢になって体力が追いつかなくなったら、難易度の低い登山に切り替えていくことが大切だ。

遭難の原因の一つは体力低下である。滑落、道迷い、稜線で行動不能。私も度々トラブルに見舞われたが、尽きるところは体力低下だった。他人(ひと)のことだが、山での飲酒は危険だ。最近ちょっとした山に行くと、山頂で缶ビール片手にパーティーをしているグループをよく見かける。足元がふらつけば、簡単に滑落する。疲れると降リの際、爪先が上がらなくなり、躓(つまず)くからである。

長年山登りをしてきたが、登りたくて登らなかった山は五萬とある。上げればきりがないが、日本100名山は登頂したのは半分ぐらいだろうか?富士山は一度は登りたかったが、今更無理である。

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