徒然なるままに 65. 電流と静電気 電磁波
2024年6月25日
徒然・・62.科学音痴 「電波障害」の記事の続きです。 その前に雷の話をします。入道雲は激しい上昇気流がある時発生します。入道雲の中では、霧滴と霧滴が擦れ合って静電気が生じます。霧滴は電子がくっつけた状態で空中に漂っています。この状態を帯電と呼びます。雷雲に帯電した静電気は、地面との電位差がある数値以上になると落雷します。ところで、避雷針はどうして避雷針と言うのでしょうか?却って、雷を呼び込むのではないだろうか?と不思議に思いますが、そうではありません。雷放電は周囲より電位が高い部分を選んで起こります。一方、避雷避雷針周囲の電位は、常に放電をしているから、むしろ低いのです。だから、避雷針周囲では雷は落ちません。
徒然なる・・62.で、「電磁波障害」の反論を書きましたが、今回は、もっと踏み込んだ話です。電磁波に当たると、人体は帯電するか? 答えはノーです。帯電する電気は静電気で、担体が空気などの絶縁体で囲まれている必要があります。衣服等がこすれあってその摩擦で、静電気が生じます。ヒトの体は帯電しますが、フェルト底のスリッパあるいはゴム底の靴を履いていて、しかもリノリウムの床に立っていれば、ヒトの体に帯電した電子(静電気)は逃げ場がないので、帯電したままです。そこで、鉄扉のドアノブを持つと、パチンとショートして静電気は地面に流れます。
人が帯電するのは静電気だけで、電磁波や磁気波に晒されても、人は帯電しません。以下に、その理由を述べます。 まず、電気の話です。電位が伝導体(導体)の中を流れる事を電流と言います、導体に電流を流すと、導体と直角方向に磁界が生じます。なた、磁石は磁界を発生しています。磁界は N 極 から S極に向かいます。磁界の中で導体に電流を流すと、導体を動かそうとする力が生じます。モーターが回る原理で、磁力、電流、運動の関係はフレミングの(左手の)法則にしたがいます.一方、同じ状態で導線を動かすと導体に電流が流れます。発電機の原理で、フレミングの右手の法則に従います。
導体に交流の電気を流して。周波数を高めていくと、100kHz以上で電磁波となって空中に飛び出ます。電磁波は電波ベクトルと磁波ベクトルよりなりたっています。2つのベクトルは進行方向に向かって90度開いています。電磁波は交流波なので、導体に電磁波を当てると導体の両端に交流の電位が生じます。交流なので電位は+とーに目まぐるしく切り替わります。たとえ導体の中で電位差が生じても、導体(電線)の両端は一瞬にショート状態になり電位差は消えます。発電機(やモーターやトランス)の導線はコイルになっていて、コイルは交流を通さないので、両端に生じた交流の電位は消えずに、両端からの電位は電流としてエネルギーの源となります。
人が磁気波や電磁波の影響で電位差を生じる可能性があるとしたら、蛇みたいに長い体でコイル状に渦巻きになった場合です。そうて、頭と尻尾の先を電線で結べば、人体には交流の電流が流れます。ただし、交流ですから、さらに人体は電気を通す導体だから、静電気の様に帯電することはありません。電磁波の影響は人体には出ません。
以前から、「全ての磁気波、電磁波は人体に悪影響を及ぼす」という誤った知識がよく噂話に出ます。携帯電話器の使用、放送局のアンテナ近く、高圧送電線の下、TVのブラウン管の近く・・・ あげ始めればきりがありません。電磁波を説明します。電磁波は波長が長い(周波数が低い)方から、電波(長波、中波、短波、超短波)、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線です。この中で人体に有害なのは、紫外線、X線、ガンマ線です。
電磁波悪者説を説くエセ科学者は、「どんな電磁波でも 人体に悪影響をおよぼす」と言います。生物は電磁波(赤外線、可視光線、紫外線)の存在のもとで誕生しました。電磁波(光)がなければ生きていけません。可視光線がなければ世の中は真っ暗で生活できません。赤外線がなければ周囲の環境は極寒の世界です。植物は可視光線を取り込んで、光合成を行います。すべて、電磁波のエネルギー量が適度だからです。電波や光でも強いエネルギーでビーム状に人体に当てれば、火傷もするし、日焼けもします。電子レンジのような強力な電磁波を当てて料理を温めるの利用方もあります。普段の生活で晒される電磁波のエネルギーと特殊な条件での利用とは区別して考えるべきです。要は、程度問題です。むかし濡れた猫の体を乾かそうとして、猫を電子レンジで温めたら死んでしまったという話を聞きました。(多分、都市伝説だと思います) 電子レンジの電磁波は、窓のところは金属の網目構造で遮蔽されているので、電磁波は外部に漏れません。誤って扉を開けると、瞬時に出力は止まります。私たちが安心して電子レンジを使用できるのは、現代人知恵の賜物です。 超高出力の放送局の近くでは、金網が熱を持つそうです。そのような環境下では、人体に悪影響を及ぼすでしょう。当然ん、人は避けた方が良いです。「電磁波の人体に対する悪影響」で検索すると、いくらでも記事が出てきます。皆、偽情報です。どうか、皆様そのようなニセ情報に引っかからないようにお気をつけください。
磁力線の特殊な利用として、MRI(核磁気共鳴)が挙げられます。強力な磁場をかけると、水素原子の周りを回る電子が動きをとめます。そのあと急激に磁場を開放すると、電子が回り始めます。その時電磁波が生じ、その波を感知します。これほど強力な磁気波を浴びても、人体に対する悪影響はありません。CTはX線を大量に照射するので、人体には有害です。X線を照射して疾患を発見できる有益性とX戦勝者による悪影響を秤にかけて、前者が上回るからX線検査をやるのです。超音波検査も人体に対する悪影響はないとされています。