徒然なるままに86. 虚血性心疾患 | 市川内科医院のブログ│実験室

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徒然なるままに86. 虚血性心疾患

2024年10月20日

西田敏行さんが「虚血性心疾患」で亡くなりました。誰も気づかないうちに亡くなっているので、突然死でしょう。心臓は大きく分けて3本の冠状動脈で循環されています。左冠動脈前下行枝、左冠動脈回旋枝、右冠動脈です。心室の心筋は、先に述べた3本の主幹(冠)動脈と、そこから延びた枝で潤されます。これらの血管が狭くなる状態を総称して、虚血性心疾患と呼びます。もっとも多いのが狭心症や心筋梗塞で、これらの病気の際は前駆症状が必ずあるので、かかりつけに行って、必要なら循環器専門の病院で精査してもらうと良いでしょう。

怖いのは普段何も症状が無くて、突然心臓からの送血が止まる「心室細動」です。冠状動脈の一部に狭い所があって、急に血流が低下すると心筋の興奮性が異常に高まって心室細動を起こします。心室は規則的に収縮、弛緩を繰り返していますが、心室細動を起こすと心室からの血液の送出ができなくなります。脳の血流が10秒途絶える意識がなくなり、5分途絶えると脳死に陥ります。

意識が亡くなったヒトがいたら、すぐに心臓マッサージを開始し、その間にAEDを用意します。素早く電極をつけて通電すれば、意識が戻ります。西田さんは誰もいないところで心室細動を起こしたのでしょう。残念でした。

虚血性心疾患の最大のリスクは「喫煙」です。ついで、糖尿病、高血圧、高脂血症(高LDLコレステロール、高中性脂肪)、飲酒、肥満、運動不足です。生活習慣病で医者にかかっている人で煙草を吸う人は言語道断です。「飲酒」もリスクは下の方ですが、ヒトは依存物質(酒、タバコ、麻薬、覚醒剤)や依存事象(ギャンブル、買い物、ゲーム)を止めることに、強い恐怖心を持つみたいですね。勇気がないんだなあ。依存物質摂取や事象依存行為を続けていて健康被害を心配するくらいなら、それらを止めることなどなんともないのに。

 

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