ゆく河の流れ 71 学生時代の試験問題 - 市川内科医院のブログ│実験室市川内科医院のブログ│実験室

長野県中野市三好町1-2-10 TEL:0269-22-3366 長野電鉄長野線「信州中野」駅 徒歩6分

タイトル背景

実験室市川内科医院のブログ

▼ MENU

ゆく河の流れ 71 学生時代の試験問題

2025年10月21日

私の大学生時代は今と比べてのんびりしていました。口頭試問のテストで今なら不合格なのですが、救われた経験を話します。先生も優しくて、試験中にいろいろ教えてくれました。

1. 学生時代の病理学実習では前もって200枚ぐらいのプレパラートが渡されていて、実習の時間は組織を顕微鏡で見てそれをスケッチして覚えます。病理学実習試験の口頭試問で私に渡された標本はこのような組織でした。病理学実習ではこんなプレパラートはありませんでした。はてな? 正解が見つかりません。「困った!」頭が真っ白になりました。この標本は脊髄の横断面です。特殊染色されていて、正常の組織は濃く、病変部は淡く染まっています。淡い部分は後索と呼ばれる部分です。苦し紛れに「後索が変性しています」と答えましたが、その先が続きません。試験官から「後索が変性する疾患はなんだ?」と言われたのですが答えられませんでした。その後、「脊髄後索が変性するのは、梅毒による脊髄癆だよ」と教えてくれました。「病変部が分かったので良しとしよう」と言って通してくれました。助かった。

2.医師国家試験の午後の試験は口頭試問でした。試験官からこのようなレントゲン写真を渡されました。当時、日本の胃がんの診断は世界の先を行っていました。硫酸バリウムを飲んで、レントゲンを撮る検査が始まったばかりでした。確か外科のポリクリでこんな写真をみた覚えがあるが・・・?     正解が分かりません。答えられないと試験不合格です。この時も苦し紛れに「直線的であるはずの大湾線が内側にくびれて(湾入して)います」と答えたのがやっとでした。試験官は優しくて「湾入の先に胃潰瘍が隠されていること」を教えてくれました。正常と異常の違いを指摘しただけで通してくれたのです。今の医師国家試験は落とすための試験ですが、当時の国家試験は通すための試験でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

pagetop