ゆく河の流れ 24. 南東から雨雲がやってきた
2025年5月31日
5月31日 昼過ぎは雨になりました。雨雲の様子が知りたくて、Webの雨雲レーダーを見ました。雨雲は南東から北西に移動中でした。普段日本列島では雨域がこのような移動をすることは珍しいです。天気は西から東に移動することが多いからです。下に今日の天気図を貼り付けます。
(以下、説明が長くてまだらっこいので、興味のない人は読まなくて良いです) 本州南岸に低気圧があり、長野県北部は北東風が吹くパターンです。低気圧は北北東に進んでいるので、低気圧が移動するときに生じる風は南南西風です。この2つのベクトルの合力が南東風になるのです。もっとも、南岸低気圧がこのようなコースのとるのは珍しいです。丁度、南海上の台風が日本付近を北上する時よくこのコースを通ります。風の吹き方や雨の降り方が今回のパターンのようになります。この天気図を見ると、平成19年10月の台風19号の大雨を思い浮かべます。
今回、低気圧が北北東方向に進んだのは、東海上で太平洋高気圧が発達して、低気圧の行く手を阻んだためです。動きからすれば今回の低気圧は台風や熱帯低気圧のようですが、もとは上空に寒気を伴った寒冷高気圧(寒冷渦)だったのです。熱帯低気圧も寒冷気圧も低気圧の中心まで前線が伸びないのですが、今回の低気圧は前線が、中心から少し離れた地点から北東に伸びており、温帯低気圧になりかかっています。48時間後の予想天気図では、北海道の東に動きの遅い寒冷低気圧があり、そのさらにその東に弱い温帯低気圧があります。今ある 992HP の低気圧は、2つの性質の違う低気圧で形成されているようです。上層は寒冷低気圧、下層は温帯性低気圧です。 広域の天気図を見ると日本の北には寒冷低気圧や小さな高気圧がいくつもあります。天気が目まぐるしく変わるときの天気図は見ていて面白いです。
本題と少し離れますが、ここで低気圧、竜巻、ダウンバーストについて説明します。低気圧は地表(低層)から(上空)上層に向かう空気の流れです。空気は吸い上げられるので地表の気圧は下がるため、低気圧と呼びます。低気圧は低層と上層の温度差で発生します。上空に寒気が流れ込むのが寒冷低気圧で、低層が温められて上空に向かって風が吹き上がるのが温暖(熱帯)低気圧です。台風は熱帯低気圧で海水温が温められて発生したのが台風です。それに対してに対して、暖かい空気と冷たい空気がぶつかってできるのが、温帯低気圧です。暖かい空気と冷たい空気がぶつかるので、温帯低気圧には中心がら前線(温暖前線、寒冷前線、閉塞全線、停滞全線)が伸びます。それに対し熱帯低気圧と寒冷低気圧は、寒気と暖気のぶつかり合いではないため、前線はできません。今回の低気圧では中心から少し離れて閉塞前線がのびています。低気圧全体を見れば温帯低気圧ですが、上層の気温差を鑑みれば寒冷低気圧です。
竜巻は空気の大きな渦巻きで、局地的な寒冷渦です。寒冷低気圧の周辺は上空の寒気が吹き下ろすので、ダウンバーストができやすいです。5月21日の須坂の電車事故、中野の降雹はダウンバーストです。被害が広範囲に及んでいます。ダウンバースト通過するときは気圧が急速に上昇します。
お断わり:私のブログは基本的に著作権法に触れないように、WEB上の画像data を使わない方針ですが、天気図を私の拙い手書きで描くのも見苦しいので、今回は出来合いの画像でお許し頂きたい。