徒然なるままに 53. 50年前のアカ・ハラ事件
2024年5月19日
今でいうアカデミック・ハラスメントを半世紀前に経験したので、全部バラします。(もう時効でしょう) その前に、この実験室ブログ 5月14日 新聞を読んで アカ・ハラ・・・を見て下さい。卒業1年前に受けた臨床病理学実習試験が不合格で、同級生71人中11人が不合格になり卒業が1年間伸びるという大事件の顛末です。
はじめに、医学部の授業の仕組みを話します。医学部は6年のうちの初めの2年は進学過程です。3年目から基礎医学の授業ががあり、学1,学2と進んでいきます。学3、学4は主に臨床系の医学です。病理学は学2で習い、学3で臨床病理学実習があります。今回の話は、第X病理学の試験に関してです。講義と実習が終わって夏休み明けに、試験がありました。試験が始まった時、第X病理学教室の NS教授は、こともあろうにヨーロッパのどこかの国に留学してしまったのです。助教授が試験官でした。当時大学紛争で学内が荒れており、教授は自分のやりたい研究ができないことが不満だったのでしょう。それにしても、教授が自分の仕事を方っぽり出して長期間留学なんてきいたことがありません。NS教授はNG助教授に任せてせてさっさと出かけてしまいました。
臨床病理学実習の試験はNG助教授が担当する口頭試問でした。ひとグループ5〜6人で試験会場に入り、各自にいろいろなプレパラートを渡して答えさせる形式でした。その結果、私たちのクラス71人中、11人が不合格でした。(幸い私は試験は通りました。) 普通の年だと間を置かずに追試があり、殆どの学生は合格しました。ところが、運の悪いことに、そのあとすぐに学生たちがストライをして、授業ボイコット、学部長室バリケード封鎖に入ってしまったのです。追試をやらずに、いたずらに時は過ぎて行きました。大学紛争が解決したのは、翌年の2月でした。3月に日って、HT講師が担当になって、追試がありました。結果は、11人全員不合格でした。11人の中に学生運動に熱心だった学生がいたこともあり、見せしめのために全員不合格にしたのです。
4月から新年度が始まり、不合格者11人も含めて、通常の講義とポリクリを受けました。担当のHT講師は「卒業までに追試を受けて合格すれば、通常通り卒業させる」と口約束したまま、のらりくらりと逃げ回って、追試を行おうとはしませんでした。12月から、私たち合格組は通常通り卒業試験を受け、全員合格して卒業しました。11人は、追試をやって貰えないで卒業試験を受けることができず、全員留年しました。年度末に追試が施行され11人は合格し、4月から1クラス下の学年に混じって臨床コギトポリクリを受けたしたのです。
後で聞いたことですが、当時の教授会は学生運動に批判的でした。HT講師は11人の中に学生運動に熱心だった学生がたまたまいて、それをを餌食にして教授会に恩を売ったのです。その後、HT講師は出世して第X病理学の教授になりました。これって、アカハラだよね。たった1教科の試験で、11人もの仲間がまるまる1年間棒に振ったのです。