新聞を読んで 31. 医師免許は車の免許と違う
2025年11月6日

新聞の投書欄です。まず初めに医者になるための試験のことを話します。医学部の入学試験、卒業試験、医師国家試験は、共通の問題で受験します。これらの試験は通過儀礼みたいなもので、「試験の関門を通り過ぎなければその資格を認めない」と言う意味付けなのです。「医師国家試験が通らないような人は、試験問題以外の知識も劣っているだろうから落とす」と言うことで、欠落者を振るい落とす試験です。言い換えれば、落とすための試験なのです。
医者になって専門科が決まれば、all round な知識より、専門科の知識が必要となります。大学の教授が今の医師国家試験を受けたら、果たして何人が受かるでしょうか。医学の知識は幅が広すぎて、up to date の知識を全科にわたって持ち続けることは不可能です。先日、大学時代の同級会がありましたが、自分の専門科以外の病気の相談で持ちきりでした。皆違う科の集まりなので、聞いたり、教えたりで賑やかでした。
勿論、医者はそれなりの知識が必要でしょう。私も、同じ年代の医者相応の勉強をしているつもりです。しかしこの年まで開業医を続けてくると、若いころとは違った意味で、「知識、経験、判断力、精神力、協調性 etc. が増した」と自負しています。患者さんと病気以外の話をしていると楽しいです。
運転免許の更新で問われるのは、運転技術と交通法規の理解度です。車を運転する資格があるかないかを検査します。言い換えれば、通すための試験です。(現代社会では車の免許証は必須だから、無免許は可哀想です) 一方、もし更新の免許で初回の医師免許みたいなテストが実施されたら、誰も受かりません。田舎ではただでさえ医者不足なのに、強制的に嫌をやめさせたら地域の慰労は保てません。。例えば更新試験があって、それに不合格な医がいたとします。 例えばアルツハイマーの医者だって、患者さんの訴えをじっくり聞いてあげて、共感できれば立派な名医です。私は医者をやって半世紀経ちました。今のところアルツハイマーではないと思うけど、聞き上手な医者になろうと心がけています。医師免許更新で振り分ける前に、怪しい医者には患者さんが誰も行かなくなるからすぐ分かります。医者の悪い評判はすぐに広がります。
最後に、記事中の「左右の目で色覚が異なる病気」なんて聞いたことがありません。色の見分けは杆状体のロドプシン(相称)と言う物質が働きます。遺伝的にある種のロドプシンが欠損していて色覚異常が生じるため、異常があれば両眼に及びます。余談ですが「犬は色が見分けられない」は嘘だそうです。黄色と青色は見分けられるのですが、赤色に感じるロドプシンが欠損しているらしいです。そういえば牛も赤が見分けられないそうです。闘牛で使われる赤い布 (ムレータ) は牛を怒らせるためではなく、観客を興奮させるためだそうです。(この記事を書くために Web を見ていたら、「牛は色を見分けられない」と書いてありました。嘘です。牛が犬と同じだと思います。 私は、最近この手の本を読みました.そのことは、いずれ「私の本」で書きます)
黒と紺の色の違いが見分けにくいのは色覚の異常ではなく、どちらかの目が白内障で霞むせいだと思います。眼科に行って見てもらうことをお勧めします。医師免許更新制度が実現するまで待っていたら、白内障はますます進行しますよ。
冒頭の物をすぐ失くすのはADHD(注意欠如多動障害)です。老化ではなく発達障害(自閉症スペクトラム ASD)です。私もそうです。いつも探し物をしています。
高いところで転落しそうになるのは、高所恐怖症でしょう。
投稿者みたいに、何でも文句を言う患者さんがたまにいます。カスタマーズ・ハラスメント(カスハラ)とでもいうんでしょうか?
話がどんどん横道にそれていきます。 これで終わります。 文句を言い始めたらきりがない・・・・





















