312 80の壁 -新たなる挑戦-
2025年11月13日
左)中高医師会報「たかやしろ」ができました。表紙の題字は、故北川浩元中高医師会長でっす。先生は大変な達筆家でいらっしゃいました。表紙の絵は、現役の長谷川悟せんせいです。今年のテーマは「私のルーチン」です。
右) 私のエッセイです。見づらいので下に本文のコピーを掲載します。

お暇な方、ゆっくり読んで下さい。
80の壁 -新たなるチャレンジ- 市川董一郎
気が多い性格なので、一日中何かしていないと気がすまない。開業して42年経つが、一日の時間は規則的に経過している。朝は6時半のラジオ体操から始まり、ごみ出し、近所の散歩と続く。午前中の仕事が終わって、昼食の後は運動の時間だ。午後の仕事が終わる5時半からは、再び屋外に飛びだす。夕飯の後は屋外の活動はせずに屋内の趣味に費やし、夜11時前には寝るようにしている。
空いた時間は趣味に費やす。それは、絵画、写真撮影、ブログの更新、ピアノ練習、電気回路の設計と製作、木工、読書などだ。時間が目まぐるしく過ぎてしまい、一日が24時間以上欲しいと思いながら寝床につく。
昼休みの過ごし方は、若いころと今とでは変わった。開業して間もなくは、中野市東山の鴨ヶ岳に毎日登った。高度差が250mの山で、当時は体力があったので、約1時間で登り降り出来た。その頃は今ほど登山道は整備されていなくて、毎日登るのは私だけだった。「私が毎日登っている」とある所で自慢したら、次第に同調者が増えた。登山道も整備され、私が登っていると話しかける人も増えた。鴨ヶ岳登山に厭きた頃、目的地を鴨ヶ岳の北側に聳える箱山に変えた。この山も高度差250mの溶岩ドームだが、安山岩が表出していて登り降りが難儀である。
この2つの山登りは長年に亘ってルーティンにしてきた。冬の大雪の中でも登ったし、山スキーで頂上から滑り降りたこともある。私は毎日の行動を記録しているが、先日調べてみたら、これまでに鴨ヶ岳に 3,657回、箱山に 1,797回、合計 5,454 回 登頂していた。高齢になって山頂登頂はあきらめて、麓の東山周辺を散歩するようになった。
このような生活が、2,017年ごろまで続いたが、私(1,946年生まれ)の年齢が72歳を越える頃に体調を崩した。山麓歩きも興味が無くなり、足腰が痛くて普段のトレーニングも休みがちになった。朝起きるとひどく不安感があり、日中休んでも疲れがとれない。鬱病からくる不安神経症で精神科受診した。こちらは、薬を飲んで徐々に回復したが、数年前から始まった腰痛症(間欠性跛行)が悪化して、今はこれが一番悩ましい。
80歳を目の前にして、このまま老後を迎えられるだろうか不安になった。自分では「80の壁」と呼んでいるが、世の中の年寄りも同じ悩みを持っていると思う。このままではいけないと思い、「努力で乗り越えられるのではないか」考えた。毎日の里山散歩が煩わしくなった頃、手軽にできて楽しい運動を見つけた。患者さんと話をしていると、元気なお年寄りでマレットゴルフをやる人が多い。試みにやって見たら、これがとても面白いのだ。スイングの基本はゴルフと同じだ。ボールは大きく、ホールも大きいので簡単にパーが取れる。バーディーだって、イーグルだってたまには出るのだ。ゴルフはストレスがかかるが、マレットはストレスがない。しかも、無料で一人でもできる。18ホールなら1時間以内で回れる。マレットゴルフ場には、積雪期以外はほぼ毎日通っている。いつの間にか山麓歩きがマレットゴルフに置き換わった。昼と夕方はマレットゴルフ場で過ごしている。
夏の昼間はプールで泳ぐ。中野市民プールは 屋外で、しかも50mあり、こんな好条件のスイミングプールは近隣の市町村にはない。嬉しいことにシニアは無料である。このプールは井戸水が入っているので、水はとてもきれいだ。水が冷たくて体が冷えるが、毎回 500m位泳ぐ。開設期間(7月上旬から8月下旬)が短いが、それでもひとシーズン30回位は通う。施設が老朽化していて、あと何年オープンできるか心配だが、私が泳げなくなるまで、プールが存在していて欲しい。
冬はスキーが楽しい。右股関節に人口関節が入っているので無理はしない。夜間瀬スキー場のメイン・バーンだけが安心して滑れるコースだ。1日6本位を約1時間で滑る。シーズン券(シニア割引 26,000円)を買って年間50回ほど通う。
いまやっているスポーツは、マレットゴルフ、水泳、スキーである。何時まで経っても上達しないが、普段から行き会う常連さんを目指して、スキルアップに励んでいる。
スポーツ以外の趣味にも時間を費やしている。10年ほど前から医院のホームページにブログを開設し、ほぼ毎日更新している。その頃から始めた絵画も趣味の一つだ。地区の絵画団体と中野市が共催する礰珉展に、50号キャンパスの油絵を毎年出品している。
音楽を聴くのは好きだったが、自分で演奏したことがなかった。昨年から月に2回ピアノ教室に通い始めた。こればかりは思い通りに行かない。いつかは簡単な曲を満足に弾いてみたい。
あと半年で80歳だ。気持ちを奮い立たせて、「80の壁」を越えようと思う。





















