319 私の本 67. 新潟県の造り酒屋
2025年11月21日

「蔵」上 下 宮尾登美子著 中公文庫 新潟の造り酒屋の長女として生まれた少女「烈」は、夜盲症から視力を失う。家族内で様々な事件が沸き起こる中、列は盲目ながら家業の酒造業を引き継ぐ。宮尾登美子の小説は読みやすく、心に染みる。新潟弁が列の強い性格を表すのに、大きな効果をもたらしている。大地主で酒造業、戦後の農地解放の下りなどは、私の母の実家の様子を彷彿とさせ、文庫本2冊の長編ながら、瞬く間に読了してしまった。
夜盲症はビタミンA群の不足で発症するが、ある程度まで進むと不可逆的に全盲に進むらしい。今はない病気だ。新潟の瞽女(ごぜ)は歌を歌い三味線を抱えて村々を回る盲目の女性だ。子供の頃囲炉裏の煙で眼を傷め、それでも痛くて目をこするので角膜炎を起こして、失明するのだ。栄耀状態が悪い中で、夜盲症(鳥目)から全盲になった人もいただろう。
むかし、私はハトを飼ったことがある。ある時わたしの長姉が、学校で夜盲症 (鳥目) のことを習ったらしい。「鳥は夜になると目が見えなくなるそうだが、ビタミンAを飲ませたらなおるかなあ?」





















