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徒然なるままに 62. 科学音痴

2024年6月13日

世の中はフェイクで満ち溢れています。そして、似非(えせ)科学も蔓延っています。そして、それを信じる科学音痴がいかに多いことか? いろいろ考えてみた結果、「似非科学を信じる人は科学的知識がないのだ」と言うことに気付きました。以下の文章を書いた先生には申し訳ないが、フェイクに満ち溢れる世の中を、少しでも住みよくするために駄文をしたためました

 

権威ある、XXX医師会報に転載された、YYY医師会報のエッセーのコピーです。執筆された先生の名誉を傷つけないためにお名前などを消してあるので、ご了解い下さい。執筆者は耳鼻科の先生らしく、電気の知識がおありかと思っていました。(耳鼻科は電気生理学の学問とも言えます)   文中で執筆者が訪問されたZZZクリニックの先生も、転載されたXXX医師会の広報委員の先生も、皆さま電気にはあまり詳しくないとお見受けします。上げ足を取るようですが、冒頭から「・・・・正直なところ、因果関係を立証するのはかなりむずかし・・・」で始まる、論文なんて、見たことがないです。非科学的なことなのだから、科学で証明することはできる訳がないのです。執筆者は初めから、「以下に書くは嘘ですよ」と認めてしまっているのだから始末が悪いです。そのあとの本文に「・・・ということで診断するほかないのが現状・・・」とあります。私ならそれに続けて「それをプラセボ効果と呼ぶのです。」と書きます。  以下は、私の解説です。

物質を構成する原子は、原子核と電子で出来ています。  電子は導電体の中を自由に移動し、担体同士が絶縁状態なら、それそれの担体(例えば霧滴、プラスチックの下敷き、等)に乗って運ばれます。また、電子は一定の電荷を持っていて、担体の電位は乗っている電子の数に比例します。例えば、雷雲の中の霧滴は激しい上昇気流で吹き上げられ、霧同士の摩擦で静電気が生じます。霧滴は電子を持ち、この状態を帯電と呼びます。  雷雲の中の雨滴の電位はマイナス何万ボルト(V)にもなります。大地の電位は0Vです。雷雲と地面との電位差が一定以上になると一気に放電します。それが雷です。   プラスチックの下敷きは電気を伝えません。乾燥した布で摩擦すると静電気が生じ、下敷きは電子を持ちます。帯電の状態です。下敷きを耳の近くに持っていくと、パチンと放電します。  空気が乾燥している時期に、不電導性のリノリウムの床を手を振ったり、太ももをこすりながら歩くとと、ヒトの体は帯電します。人体に帯電した電子は大地に放電したいのですが、リノリウムは電気を通しません。たまたま鉄性の扉のドアノブを握った途端、パチンと放電して手はピックと痺れます。空気が乾燥した時期に、ゴムのタイヤの車は、走っているうちに帯電しているかも知れません。給油する前に放電除去シートに触れて、人体の電位をゼロにします。

「電磁波障害」を書かれた先生は、どうも「電子機器から出る電磁波が人体を帯電させ、それが不定愁訴を生じるらしいとおっしゃっています。不定愁訴を治す(放電する?)ために、電磁波除去シートに乗ると解消する」そうです。電磁波除去シートって何だか空飛ぶ魔法の絨毯みたいですね。これだって一枚何万もするんでしょうね。人体の帯電を除去するなら、鉄扉のドアノブを握るか、表に出て裸足になって大地に立てばよいことです。

電磁波で人体に有害なのは、X線くらいです。紫外線も有害ですが、殆どの電磁波は無害です。磁力は無害です。医療では電磁波や磁力を使って診断することが多くあります。その中で、有害なのはレントゲン波とその応用のCT検査です。ついでに言うと、超音波は無害です。電波が人体に悪影響を及ぼす、例えば、携帯を使うと癌に、とか高圧の送電線下では病気が多い、等々 出ては消え、消えては出るを、繰り返していますが、しっかり証明できた報告はありません。  それより今の医療ではX線を使った画像診断が、ほとんど無制限に行われており、その方が問題だと私は思います。

電磁波や磁気波が身体を通過した際、生体が帯電状態になることは理論的にはありません。詳しい説明は、次回に回します。  電気(電子、電圧、電位、電流)            磁気波(磁力)      電磁波(電波、光、X線、紫外線、赤外線)  に関して、いずれ解説したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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