私の趣味 7. 地図
2025年6月8日
生来彷徨(さまよい)癖があり、幼稚園の帰りで道に迷ったって途方にくれたり、チンドン屋にくっ付いて行ってとんでもない所で泣いていたことがある。家から見える高社山や三沢山に登って見たくて仕方がなかった。読書はあまりしなかったが、地図を見るのが好きだった。地図を見て地形を想像した。小遣いで5万分図「中野」を買った。たしか1枚25円だったと思う。自分が歩いたコースを赤色鉛筆でなぞった。地図は中野の周囲の8枚から徐々に増えた。高校は長野市内で、生物班に所属したので、飯縄山や戸隠山へは良く通った。当時は地図のコピーはできなかったので、本物の地図を折りたたんで持ち歩いた。地図は歩いたコースの記録で真っ赤になり、折り目はぼろぼろになった。長じて体力が付き、難路や道なき道をたどるようになり、5万図では満足できず2.5万図が必要になった。特に積雪期の登山や山スキーでは、精密に読図ができる2.5万図が必携である。2.5万図になって地図の購入枚数が4倍になり、収納キャビネットを購入した。これで地図を探す手間が省かれた。どこかへ行く前には必要なところをコピーして持ち歩く。
徐々に登山がレベルアップして、読図がうまくなった。登山には正確な読図が必要である。雪山は正確かつ迅速な読図が必要だ。北アルプスなどで広いエリアをスキーで滑降する場合など、気を付けないと尾根1本、沢1本などあっという間に通り過ぎてしまう。登山道のないエリアを歩く時は、地図と首っ引きで登り降りする。地図だけで登山する限界を感じて、ある時期からGPS(Global Positioning System)を導入した。GARMIN 社製で当時は、1台 10万円弱した。いまはスマホがGPS機能を持っているので、殆どの登山者はGPSを持たないが、本格的なGPSはそれなりに使い勝手が良い。富山県の猫又山に登った際、誤ってGPSを草着きの斜面に落としてしまった。草付きを 10mほど転がって、草むらに飛び込んでしまった。さんざ探したが見つからず、当初計画したバリエーションルートをあきらめ、通常ルートを登ったことがある。いまの機種は、GARMIN社のOREGON 700 である。多機能なので使いこなせているとは言えないが、基本的なところだけは抑えているつもりだ。
ある時、長野県内の里山の登山ガイドを取材、執筆中の登山家に行き会った。その人は「GPSは登山の感が鈍るから」との理由でつかっていなかった。ガイドブックができたので買って読んだが、GPS を使えば簡単に入手できるような基本的情報が記載されていなかった。詳細な情報が記載されていなければ、遭難にもつながりかねないのだから、文明の利器は活用するに限る。