私の本の読み方 6. 凪良ゆう 沢木耕太郎 漁船沈没 栗田貞多男
2023年7月4日
1.「汝、星のごとく」 凪良ゆう著 : 本州から四国へは、Ⅰ)広島県尾道から愛媛県今治間のしまなみ海道、Ⅱ)岡山県倉敷から香川県丸亀間の瀬戸大橋、Ⅲ)兵庫県明石から淡路島を経て鳴門海峡を渡って徳島県に入るルートがある。私は四国にドライブしたときは後の2ルートは走ったが、しまなみ海道はまだ通っていない。この本を読んで、しまなみ海道も走ってみたくなった。この小説は「しまなみ海道」沿いの6つの島のうちの、今治寄りの「大島」らしい。この島の生まれの少女と親の都合で島に引っ越してきた青年(話の始まりはどちらも高校生)との恋愛小説である。2人は遠距離恋愛になるが周囲の状況に振り回され、思わぬ方向に流されていく。最後は男性は死に、女性は良き理解者と落ち着いた生活を取り戻す・・・と言った話である。本の中で、「誰でも人生は思い荷物を抱えながらが生きていく」の言葉に勇気付けられた。
2.「深夜特急 2」 沢木耕太郎著 : 私は1と3と6は読んだが、残りは手持ちがなかったので、姉から借りて読んだ。香港から空路でタイのバンコクに飛び、マレー半島を南下してマレーシア、シンガポールまでが今回のコースである。沢木の旅は一カ所に長期間滞在するぬ専旅行に近い超安価旅行である。最初の寄留地の香港の印象が強すぎて、どこの都市へ行っても満足感が得られず苦労する。それで鈍行の列車旅や地方の小都市では、友達を見つけて、それなりに印象的な旅行をしている。面白かったのは、マレーシアのペナン島の小都市で、安宿を探して娼館での話である。6部屋あるうちの5部屋には娼婦が住み、残りの1部屋に沢木が泊まることになる。娼婦は昼間は暇なので、すぐに沢木と仲良くなる。沢木はお金がないし春は買わない主義なのでそこでの色気話は一切出てこない。娼婦にはヒモが一人ずつおり、ヒモは暇なのですぐに沢木と仲が良くなる。傑作だったので、以下本文より抜き書きする。「それにしても、ヒモの若い衆が教えてくれるペナンに関する情報は極めて実用的であた。・・・・ヒモのひとりに穴場を教えるから女を買いに出かけようと誘われて妙な気持ちになったことがある。」これを読んで、夜中だったのに大声を出して笑ってしまった。シンガポールは人工都市過ぎて、沢木の気に召さなかったようだ。このあと空路でインドのコルカタに飛び立つことになる。
3.「黒い海」伊澤理江著 : 2,008年6月 太平洋、犬吠埼沖で停泊中の大型のトロール漁船が突然なにかと衝突して、大量の重油を吐き出して沈没してしまう。原因は大型の潜水艦(米の大型原潜)との衝突が疑われたが、海難審判庁は気象遭難として強引に幕引きを計ってしまう。著者は綿密な取材を通して真相に迫るが、加害者側の情報が全く取れず疑問を残して取材を終える。この事件が起きて15年経った現在、核廃絶に対する国の態度、G7サミットでのウクライナに対する国の対応、全てが変わっていない。むしろ悪い方に向かっているようで心配になる。
栗田貞多男著の、世界文化社・モンブック3部作を紹介します。このシリーズはA6判のミニブックです。身近において、暇なときちょっと手に取るのに都合が良いです。 1. 「中央分水嶺を旅する」栗田貞多男著 中央分水嶺は日本海と太平洋を隔てる境界線です。この本では、宗谷岬から始まり、北海道を縦断し、津軽海峡、龍飛岬から本州を縦断、下関までの脊梁山脈を紹介します。そこから関門海峡を越えて九州の中央を通って、佐多岬まで、6,000kmの山岳を紹介しています。地球儀を見れば、日本列島は短く感じますが、この本を見ると、日本も広さを実感します。p48の龍飛岬の写真は私が写しました。(WEBでは龍飛岬は竜飛岬と記載されている記事が多いですが、正確には龍飛岬です) 2. 「山の単語帳」田部井淳子著 写真は栗田貞多男です。山岳用語が詳しく紹介されていて、私はブログ「実験室」の記事を書く時、いつも参考にしています。知識が豊富な田部井さんのユーモアあふれる筆致が楽しいです。この本の前身のA5版の同名の本では、私の写した写真が載っていたのですが、今回没になりました。 3. 「黒部源流と大峡谷を行く」栗田貞多男著、写真 栗田は黒部川に関する著書が沢山ありますが、この本も美しいカラー写真満載で、険しい黒部川が想像できる楽しい本です。p88から5pにわたって、滋彦の「上ノ廊下~黒部源流遡行記」が載っています。意外と面白いです。(親ばか)