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339 私の本 70. 環世界の本

2025年12月11日

動物には何が見え、聞こえ、感じられるのか」 エド・ヨン著 久保尚子訳  環世界とは耳慣れない言葉だが、「動物はヒトとまったく異なる感覚の中で生きている」という。そのような感覚の違いを環世界というのだそうだ。本文だけで508p に及ぶ大著である。どのくらいの動物が出てくるか及びもつかない。そして、それらの動物がみな異なった環世界を持っているのだ。色だって、全種の動物がヒトと同じように物が見える訳では無い。例えば、犬や牛は赤が認識できない。闘牛で牛が闘牛士が持つ赤い布は、牛は赤色を認識しないそうだ。観客が興奮するだけだそうだ。ただし、「牛は色彩が認識できない」とよく言われるが、ウシの名誉のために言ったおくと、牛はすべての色が見えないわけではなく、たまたま赤色を赤色と認識できないだけだ。網膜に存在する杆状体の違いで視覚が異なる。

何万もの小魚がひと固まりになって泳ぐ様子をよく目にするが、魚には側腺と呼ばれる感覚器官があり、泳いでいるときの自身が起こす水流の変化、横を泳ぐ仲間が起こす水流の変化を感知できる。赤外線感知器を備えている蛾は100km離れた山火事を感知する。幼虫は焼けあとで生育するのだ。電気ナマズや電気ウナギから身を守るために、微弱の電位の変化を感知する魚がいる。電磁波を感知できる鳥がいる。帰巣本能はそれによる。  クジラは大洋の端から端までの距離(最大  10,000km) も離れていても、仲間の発する音声を聞き取れる。近年、大国の潜水艦が起こす雑音がクジラの生態に危機を及ぼしている。 その他、情報多々・・・・

環世界の大要は究明されているが、まだわからないことは沢山あるそうだ。興味が尽きない。楽しかった。

 

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