雲あれこれ 1. | 市川内科医院のブログ│実験室

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雲あれこれ 1.

2022年11月13日

写真は秋の雲です。秋は季節の変化がダイナミックなので、雲のデパートと言えるほど多彩です。この写真は早秋の午前に撮影しました。巻雲、巻層雲、高層雲などが写っています。

雲の種類の分類は比較的単純です。高さで分類すると、城早雲(高さ5000m以上)、中層雲(高さ1000~5000m)、下層雲雲(高さ0~2000m)です。それに「巻(Cirrus)、高(Alto)、層(Stratus)、積(Cumulus)、乱(Nimbus)」を組み合わせればOKです。ラテン語の学名は、(カッコ)内の組み合わせで表せます。詳しくは、Web.を見て下さい。

 

秋の早朝に写した巻雲です。右半分は巻層雲が被さっています。この時期、偏西風は日本上空を吹いています。300hPaの高層天気図では、東西に延びる9000mの等高線が。日本付近で密になっています。上空は西風が強いようです。

 

 

 

秋の夕方、日没後に見られた「巻積雲」です。太陽光が雲の下部を照らしてキラキラ輝いていました。

 

 

 

晩秋の昼間、日本海を低気圧が発達しながら通過しているときです。「高層雲」だと思います。雨雲レーダーを見ると、間もなく雨が降りそうです。

 

 

 

初秋の昼前の、「飛行機雲」です。上空は偏西風が強いようです。巻積雲になりかかっています。単気筒でストロークの長いバイクが空を走ったらこんな雲ができるかなあ。

 

 

積雲です。晩秋の午前中中野市から斑尾山方向を撮影しました。低気圧が通過して弱い冬型になりましたが、上空の寒気が弱く雪雲は現れていません。強い寒気が南下すると、西側の山岳にビシッと雪雲が付き、それを積雲堤(せきうんてい)と呼びます。さらに強い寒気が南下すると、中野の平野部でも雪が降ります。

この後、日本の冬はなぜ寒いか?を解説しますので、暇のある方はお付き合いください。

中野市の緯度は北緯37度位です。ヨーロッパではスペインの南部、アフリカ大陸ではチュニジア最北部、アメリカ大陸では西海岸のサンフランシスコ、東海岸ではバージニア州あたりが北緯37度です。日本列島はどうしてこんなに寒いのでしょうか?  偏西風の蛇行がその理由です。偏西風は北緯35度から45度あたりの上空を吹く強い風で、ジェット気流とも呼ばれます。以下に偏西風の吹く理由を説明します。

北半球の高緯度地方の上空は、中緯度地方の上空に比べ気温が低く、気圧も低いです。風は気圧の高いところから低いところに向かって吹くから、北緯40±5度あたりの上空は常に南風が引いています。南風は地球の自転によるコリオリの力で西風に変わり、それが偏西風の吹く理由です。

また、陸地は温まりやすく冷えやすいので、冬の大陸上空は低温です。一方、海は温まりにくく冷えにくいので、冬の海の上空は陸上より暖かいです。偏西風の影響で大陸では東岸の方が気温が低くなります。日本を含むアジア大陸東岸が寒いのはこれでお分かり頂けると思うのですが、それにしてほかの地域と比べてもずば抜けて寒いのは、偏西風の蛇行が理由です。

偏西風は常にに南に寄ったり北に寄ったりして、つまり蛇行して吹いています。アジア大陸でたまに偏西風が南下しようとすると、チベット高原やヒマラヤ山地が邪魔をします。ここで偏西風は北に大きくそれるため、日本の西で逆に南下します。偏西風の南下で上空の寒気も塊になって日本上空に吹き降りるため、日本の冬は寒いのです。

アメリカ大陸でもロッキー山脈で偏西風がさえぎられて同じ現象が起きますが、アジア大陸の高地に比べて規模が小さいので、その影響も少ないです。最後に日本列島の日本海岸で雪が多い理由を述べます。

大陸から引き付ける北西風は日本海の水蒸気を多量にため込んで、本州の山岳地帯にぶつかります。季節風は斜面に沿って上昇し気温が下がります。気温の低下とともに水蒸気は霧になったり雪になりして、山岳地帯に積もります。日本海は北からのリマン海流もありますが、主たる海流は南から流れてくる対馬暖流です。海面と季節風との温度差が大きいほど水蒸気は多く発生します。地図を見ると、日本海が一番膨らんでいるところは、本州中部から北西に線をひいた辺りで、日本海を吹きわたる北西風は長い時間水蒸気の補給を受けます。富山、新潟、新潟あたりの山岳地帯の雪が多い理由が分かると思います。      長くなったので、この項はこれで終わります。 雲あれこれ 2.をお楽しみに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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