新型コロナウイルス感染症に関する私の見解 | 市川内科医院 院長のブログ│休憩室

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新型コロナウイルス感染症に関する私の見解

2020年5月18日

4月中~下旬に、院内だよりに書いた文書をブログに掲載します。今と若干状況が異なる点もありますが、読んでいただければ参考になると思います。ちょっと長いけれど、お付き合いください。(今回のブログは、アイキャッチ画像なしです)

その1  2020.4.10

 中国での初発から今日までの経過を見ていると、このまますっきり終息するとはとても考えられません。かなり厄介なウイルスと考えた方が良さそうです。全世界の英知を集結して、この危機を乗り切ってほしいものです。

 この感染症は普通の風邪やインフルエンザと同じような感染形式をとります。厄介なのは感染しても全く無症状の人がいるかと思えば、重症化して亡くなる人もいるということです。無症状あるいは軽症の人が感染を広げてしまい、お年寄りや持病のある方にうつせば、うつされた人は重症化して命を落とすこともあります。

 新型コロナウイルス感染症は、一旦は減少に転じてもこのまま終息に向わず、第2波、3波が予想されます。ワクチンが開発されるまでには1年半ほどかかると言われており、それまでの間は何とか感染爆発を抑えていくしか手はありません。

 

その2  2020.4.11

 今回は、新型コロナ感染にかからない方法についてお話します。無理をしたり睡眠不足だったりするとよく風邪をひきます。疲労を翌日に残さないようにして、疲れたら早く休んで下さい。持病のある人は良好な状態の維持を心がけてください。

今回の感染症の流行を抑えるのにアルコールを控える話はあまり聞きませんが、実は大事なことなのです。過量の飲酒は免疫力を低下させます。毎晩お酒を飲む人は節酒して下さい。いくら飲んでも、ビール350ml缶、1本以内にとどめて下さい。うつりたくなかったら飲食店での飲酒は止めましょう。

 次は禁煙です。喫煙者は感染率、重症化率、死亡率ともに非喫煙者に比べ数倍高いことは証明済みです。当院では禁煙外来も実施しています。ご利用ください・

 外出禁止令が出て、家の中でくすぶっていることが多い昨今ですが、外に出て積極的に体を動かしましょう。日光に当たることも良いことです。適度の紫外線は免疫力を高めます。あまり体を動かさない人は、ラジオ(TV)体操もお勧めです。朝の体操はその日の体調を判断する良い機会です。

 

その3   2020.4.13

 新型コロナウイルス感染症の症状の話です。初発症状は普通の風邪と一緒で、のどの痛み、鼻水などです。人によっては消化器症状(吐き気、下痢)を訴える人もいます。強いだるさ(倦怠感)があります。新型コロナ感染症で特徴的なのは、37.5度C以上の熱がだらだらと続くことです。普通の風邪やインフルエンザでは高熱が出てもいったん下がって、再び熱が出る・・・といった経過をたどります。この経過の違いが重要です。新型コロナでも、ほとんどの人はだんだん熱が収まって治ってしまいますが、一部の人は肺炎症状が出て重篤化します。

 普通の風邪と、コロナ感染症の初発症状の区別は困難です。はっきりいって、風邪の治療法はありません。これまでも、風邪に対しては対症療法を行うだけだったのです。風邪をひいたと思ったら、誰にもうつさないように家の中で静かに寝ていて下さい。もちろん、入浴、飲酒は厳禁です。 高熱と強い倦怠感がだらだらと4~5日続いたら、新型コロナの可能性がありますので、保健所に連絡して検査を受けて下さい。

 

その4  2020.4.14

 新型コロナがうつるのは3つの状況が考えられます。まずは、患者が咳やくしゃみをしてその飛沫が、直接鼻孔や口腔に飛び込むケースです。これはお互いにマスクをしていれば防げます。次は、咳やくしゃみの飛沫がどこかに付着して、それを健康な人が触って、その手を鼻や口に持っていってうつることです。これは手洗いや手指のアルコール消毒で防げます。最後のケースが一番厄介です。患者の咳やくしゃみが空気中に小さな粒子になって浮遊している状況です。狭くて換気の悪い空間に長い時間留まるとうつります。

 以上の説明でお分かり頂いたと思うのですが、それほど怖がらなくても大丈夫です。最後の状況が、いま一番問題になっているクラスター感染です。新型コロナが日本で流行り始めた時は、ライブハウスでうつるケースが多かったのですが、最近はナイトクラブやキャバクラとよばれる接待を伴う飲食店が多いようです。あるいは狭い空間で、仲間たちと大騒ぎして食事してうつる人もいます。普通に生活している我々には縁のない世界ですが、それでもかからないように気をつけましょう。

 

その5  2020.4.17

 新型コロナが終息するのは、世界の人口の半分以上の人が免疫抗体を持つ時だと言われています。ワクチンで免疫を作るか、病気にかかって治って免疫ができるかのどちらかです。予防や治療手段が確立するまで病気にかからないように、かかっても重症化しないために、今から免疫力を高めておきましょう。これまでも「市川内科医院便り」で書いてきましたが、節酒、禁煙、適度な運動で体力をきたえることが重要です。高血圧の人、糖尿病の人は重症化しやすいのでしっかりコントロールしましょう。

食事で大事なことは、蛋白質をしっかり摂ることです。免疫グロブリンの原料になるのは蛋白質です。今の日本人の食事は炭水化物に偏りすぎています。食事で蛋白質と野菜をしっかり食べて下さい。

 いま病気の予防で一番大事なことは、感染しやすい場所に行かないことです。日本でこの病気が流行り始めた時はライブハウス等でしたが、その後キャバクラ等が危険とされました。今はパチンコなどの遊興施設ではないでしょうか。それぞれがよく考えて遊びたい欲求を我慢して下さい。

 

その6  2020.4.18

 新型コロナウイルス感染の終息に向けて世界中の人が総力をあげて研究しています。安全でかつ十分な効果が期待される予防ワクチンが実用化されるまでにはあと1年半ぐらいかかるようです。

治療薬に関しては、既存のものの中から新型コロナに効きそうな物が少しずつ分かってきました。新薬も開発されるでしょう。感染の初期に使う薬として、レムデシビルを始め数種の抗ウイルス薬が治験の段階に入っています。感染が重篤化する原因としてサイトカインストームがあげられていますが、その現象を抑制する薬として抗体薬品のアクティムラが期待されています。感染して治った患者さんの免疫グロブリン(IgG)を精製した薬剤も期待されています。いずれの薬も供給が十分でないので、さらなる治験と量産態勢の確立が望まれます。

それまでは、私たちは不要不急の外出を控えて感染爆発を抑えましょう。長野県内ではパチンコなどの遊興施設がまだ営業しているようです。それ以外にも人と人との接触をできるだけ控えて、この難局を乗り切りましょう。

 

その7  2020.4.20

新型コロナウイルス感染はいつ終息するでしょうか?はっきりしたことは言えませんが、私たちが安心して普通の生活を取り戻すには、あと2~3年はかかるのではないでしょうか?それは、新型コロナ感染症の治療法が確立され、さらに予防ワクチンが全世界に行きわたった時です。

それまでは、感染のまん延を何としてでも抑え込まなくてはなりません。それには、かからない、うつさないが鉄則です。一人の患者が一人以上の人にうつしていては、いつまでたっても終息しません。例えば平均して二人に感染させたとして、5回重ねていると、2×2×2×2×2=32と、どんどん増えます。反対に0.5人だと、0.5×0.5×0.5×0.5×0.5=0.03125 で限りなく0に近づきます。

未だ、日本では感染のまん延を抑え込めてはいません。遊興施設の立ち入りなども制限していく必要があると思います。こども達が安心して学校に行ける日が一日も早く来るように、大人たちも軽率な行動をしないように気持ちを引き締めていきましょう。

 

その8  2020.4.25

新型コロナウイルス感染が拡大しています。北信広域圏内でもクラスター感染が発生し、長野県で最初の不名誉な記録を作ってしまいました。長野市でも整骨院でクラスターが発生しています。当院では3密を避けるよう院内の換気に努め、風邪、発熱の患者さんは通常の患者さんとの接触を避けるようにしています。新型コロナが終息するまでは、通常の患者さんには長時間院内に滞在して頂かない様に努めています。また、当院でもオンライン診療を開始する予定です。

感染が拡大した地域では、検査すると発症した人数より多くの人が感染しているらしいです。これから書くことは、全く私の独論です。感染する→発症する→重症化する、の差は吸入するウイルス量によるのではないでしょうか? 3密空間に長時間滞在するような状況で、一度に多量のウイルスを吸いこむほど感染、発症、重症化のリスクが高まると思います。さらに、個人差もあるでしょう。毎日お酒を飲んだりして基礎的な免疫力が低下している、過労、睡眠不足、冷え、喫煙などの免疫力低下も無視できません。逆に、健康な人なら感染しても発症せずに治ってしまうことが考えられます。

 

2020.4.26 その9

 新型コロナは普通の風邪より感染率、重症化率、死亡率の高いものです。今、世の中は新型コロナだけが特別な感染症だと思われて大騒ぎしていますが、注意することは普通の風邪の時と同じなのです。新型コロナウイルス感染にかからないようにするには、普通の風邪にかからない注意と同じです。

お恥ずかしいのですが、ここからは私自身のことを書きます。今から7年前まで私は大酒を飲んでいました。その頃は、少し激しい登山をした後、大酒を飲むと必ず大風邪をひきました。それも、すぐに治らず1週間ほど寝込んだものです。血液の肝臓に関する数値は正常だったので安心してお酒を飲んでいたのですが、たまたま肝臓の権威の先生に肝臓が硬くなっていると指摘され、それからは一滴も飲んでいません。その後はこれまでのような大風邪をひかなくなりました。飲酒は免疫力を弱めます。大酒は控えましょう。今回のコロナ感染症でも、飲酒を伴う席での感染が影響しているのではないかと思われる事例が多々あります。気をつけたいものです。

 これ以外に、風邪をひいた時の原因を考えてみると、無理をして体が疲れていた、睡眠不足が続いた、寒い所で長時間過ごした、などがあげられます。いずれも免疫が低下していたから風邪をひいたと思われます。このような状態にならないよう気をつけましょう。

風邪の予防には食事も大事です。炭水化物の過剰摂取はインスリンの感受性を低下させ、免疫を低下させます。肥満、メタボリック症候群、糖尿病、高脂血症はしっかり管理しましょう。

免疫グロブリンの原料は蛋白質です。良質の蛋白質をバランスよくしっかり摂りましょう。野菜は体の免疫に様々な影響を及ぼします。多種類の野菜をバランスよく食べることが大事です。特にアブラナ科の野菜にはデトックス(解毒)の作用があるとされています。毎日、少しずつでも食べましょう。果物も必要です。季節々々で時期の果物が豊富に出回っています。食欲と健康を同時に満たしてくれるので、大いに食べましょう。最後に、今回のコロナ感染症では高血圧患者が重症化しやすいと言われています。塩分控えめの食事で血圧を上げないようにすることも大事です。さらに、適度の運動も重要です。

2020.5.24 その10

新型コロナ感染症は、ここにきて日本では一旦は抑え込みが成功したようですが、報道ではこのまま収束に向かうことはなく、第2波、3波はさらに広範に、強毒化して襲うかもしれないと、警告されています。約100年前の第1次世界大戦のさなかに流行したインフルエンザは、スペイン風邪と呼ばれていますが、実際はアメリカ軍の兵営発生しました。中立国のスペインだけが患者数と死亡者数を公表したので、不名誉にも「スペイン風邪」の称号を与えられてしました。スペイン風邪は4波発生し、終息するまでに4年かかりました。長野県内だけでも7,000人が亡くなったそうです。

いま、世界的に新型コロナの治療訳が研究され、その数は1,000件に及ぶそうです。ワクチンんも左官開発研究されているそうで、供給の点では日本の研究機関が、効果の良いワクチンを開発してくれるのが最も望ましいです。(開発した国では、まず自国民にワクチンを供給するでしょうから)

BCG接種が、感染率、発症率、重症化率、死亡率に良い影響を及ぼしているのではないか、との研究があるようです。BCGのことですが、BCGは結核の予防ワクチンです。結核菌は不思議な菌です。もしかしたら、人類が誕生したときからの付き合いかも知れません。ヒトはいちど結核に感染すると免疫が賦活されて、そのあと重症化しなくなります。ただ、虚弱、過労、低栄養などで宿主の抵抗力がなくなると、結核が再燃します。弱毒の牛型結核菌を接種して、重症の結核を予防するのがBCGです。

病原体(ウイルスや細菌)とヒト(宿主)の関係では、あまり病原体が強すぎて宿主が死んでしまうようだと、病原体もそこで絶えてしまいます。病原体にとってはそこそこに、宿主の中で生き長らえるのが最も望ましいのです。結核菌感染のおかげで、人類が他の感染症になりにくくなったとしたら、結核菌にとっても人類にとっても好都合です。細菌と宿主の関係は、持ちつ持たれつなのです。結核菌のおかげで人類がここまで繁栄できたのかもしれません。

結核感染あるいはBCCG接種は、ヒトの免疫を高めるようです。BCGの抗がん作用は、ご承知の通りです。丸山ワクチンの発想の発端は・・・結核患者は癌にならない、という事象です。丸山教授はBCGからワクチンをあみ出しました。(今でも、細々と使われています。)結核と免疫の問題は、これから研究されていくことと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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