お酒あれこれ ~休肝日は?~ | 市川内科医院 院長のブログ│休憩室

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お酒あれこれ ~休肝日は?~

2022年11月26日

2016年12月29日のブログ「休肝日は意味がない?」の閲覧数が多いので、その続編として肝臓とお酒の関係について述べます。その前に以下のブログも覗いてみてください。 (2016年11月3日 節酒のすすめ  2016年12月7日 適正飲酒のすすめ    2018年4月19日  上を向いてアルコール) 今回は、少し専門的な話です。まずは、アルコールの代謝です。

エチルアルコール(エタノール)は肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)の力を借りてアセトアルデヒドに変わります。アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸に変わり、酢酸は炭酸ガスと水になって排泄されます。この中で、アセトアルデヒドは最大の悪者です。アセトアルデヒドは強い還元作用を持ち、肝臓を甚だしく傷めます。(話はそれますが、メチルアルコールの代謝産物はホルムアルデヒド(ホルマリン)で、強い殺菌作用、組織損傷と発がん性を持ちます)ADHやALDHの活性は個人差が大きく、例えばADH活性が弱い人はお酒に弱く、少量の酒で酔い顔が赤くなります。一方、ADH活性は普通でも、ALDH活性は低い人は体にアセトアルデヒドが貯まりやすいので、悪酔いして顔が青くなります。日本人はADHもALDHも弱い人が多く、酒を全く飲めない人が多いのに対して、欧米人はどちらかと言うと両方とも強い人が多いです。そのような理由から、欧米人にはアルコール依存症が多いです。

ある一定以上のお酒を飲むと、肝臓に脂肪が沈着(アルコール性脂肪肝)します。その状態が進むと、肝臓の組織が線維化(アルコール性肝炎)し、さらに進むと肝硬変、そして肝細胞癌に至ります。この変化は不可逆的(後戻りしない)なので、週に1回程度酒を止めても元に戻りません。だから、休肝日は意味がないのです。ただ、繊維化が軽いうちなら、完全に酒を止めれば長い間に少しは後戻りするようです。

安全な飲酒量は、350ml缶ビール 1本 、あるいは 日本酒0.5合 と言われています。ただ、アルコールの生体に対する作用は個人差が大きく、もっと少ないお酒でも体を壊す(特に女性)人がいるので、注意が必要です。お酒が強いと思っている人の方が危険です。お酒を飲んでもガンマGTが上がらない人も、いくらお酒を飲んでも大丈夫という訳にもいきません。大酒家は消化器(肝、胆のう、胆管、胃、食道)のガンが多いです。とくに、もともとお酒が弱いのに、飲んでいるうちに強くなった・・・、そんな人は注意しましょう。 (写真は毎度同じものですみません。盃の中身は水ですのでご安心ください)

 

 

 

 

 

 

 

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